オーストラリアに戻って、最初に感じたこと。
この「ちょうど良さ」が、心地いい。
広く伸びる道、街の中の豊かな緑、
鳥のさえずり、果てしなく広がる空。
空気の匂いまで、どこか新鮮でやさしい。
この3年、日本では社会の流れに合わせようとするほど息苦しくなり、
外に出るのさえ嫌になる日もあった。
物で溢れる日本。
きっと世界一じゃないかと思うほど、一人ひとりが多くの物を持っている。
新しい物が次々と発売され、行列ができる。
半年後には、もう次の流行へ。
人気だったお店が、気づけば別のお店になっている。
薬局の棚には、色とりどりの商品がずらり。
多すぎて選べず、私は結局ネットで買ってしまう。
オーストラリアの人たちは、物を欲しがらないわけじゃない。
でもお金をかけるのは、ホリデーやレジャー、
外での食事やパーティ、友人とのひととき。
ブランドよりも、家や家族の心地よさに投資する。
そんな物欲に振り回されない暮らしの中で育った私。
今回の滞在中、そのシンプルさがとても心地よかった。
その日の気候に合わせて服を選び(3つの街の気温差10度には苦労したけれど)、
見慣れた商品を手に取り、静かに過ごす。
ローカルのカフェは、朝6時には開き、午後3時には閉まる。
多くの店は、5時のカウントダウンと共にシャッターが下りる。
一日は早く始まり、早く終わり、
残りの時間は、自分や家族のために使われる。
夜9時を過ぎれば、アパートメントの窓の明かりが次第に消えていく。
初めてオーストラリアに来た頃は、
「働かない人が多い国」だと思っていた。
でも違った。
時間を大切に使い、その中で人生を楽しんでいた。
学校帰りにサーフボードを抱え、自転車で急ぐ子どもたち。
仕事帰りに車の中で着替え、波の様子を眺める人たち。
まだ明るい午後の光が差し込むレストランで、
ワイン片手におしゃべりする友人たち。
公園を、ビーチ沿いを、
太陽が高い午後にジョギングする人たち。(ベビーカーと一緒に走る人たちも少なくない)
そんな、日本ではなかなかできない暮らしが、ここにはある。
それがまた、私を自由にしてくれる。
そんなシンプルで、自然な暮らしが
ちょうどいい。