今回の旅のもう一つのハイライトは、シドニーからメルボルンへ向かう電車の旅。
所要時間、約11時間。
飛行機での移動ももちろん便利だけれど、今回は時間に余裕のある旅。
「一度やってみたかった」そんな憧れもあって、あえて電車を選んでみた。
空港までの移動や、チェックイン、セキュリティゲートを抜けるまでの慌ただしさを考えれば、電車に揺られながら窓の外の景色を楽しみ、本を開く余裕のある旅も悪くない。
シドニーでのホテル選びも、この計画に合わせてセントラル駅の目の前に。
出発は早朝。大きなスーツケースを抱えて5分でプラットフォームに着ける距離は、なにより安心だった。
朝、ホテルをチェックアウトし、駅構内で買ったコーヒーとハム＆チーズクロワッサンを手に、いざ電車へ。
あらかじめ予約していた“VIP席”は、見た目はほとんど普通車と変わらない。
「11時間もかかる電車、きっとガラガラだろう」
と思いきや、その日は満席。
車内を歩きながら探索してみると、個室のような席や食堂車もあり、長旅を快適に過ごせる工夫がされていた。
日本からオーストラリアへ飛ぶのと同じくらいの時間。
けれど飛行機と違って、広いスペースでのんびりでき、温かい食事も買え、車両を自由に歩ける。途中駅に停車するたび、少し外の空気が変わるのも楽しい。
食堂車からはアナウンスが流れ、朝・昼・晩とホットミールが用意される。
そして、オーストラリアらしいユーモアたっぷりのスタッフのジョーク。笑えない冗談なのに、逆に笑ってしまう。こういう空気感もまた旅の醍醐味だ。
出発：Sydney Central Station 07:40AM
到着：Melbourne Southern Cross Station 18:30PM
停車駅数：18（運行ダイヤによって多少変動）
距離：約1,000km
所要時間：約11時間
朝の柔らかな光に包まれたシドニーを出発し、メルボルンに着くころには夕暮れ。
車窓から見えるのは、広がる放牧地と小さな田舎町。
駅に着くたび「ここにも人が暮らしているんだ」と思わず口にして、自分で笑ってしまう。
オーストラリアは、やっぱり広い。
